神社・神道 Blog
導きの神様~和布刈(めかり)神社
福岡県北九州市門司区、九州最北端に鎮座する和布刈(めかり)神社。
和布刈神社では、潮の満ち引きを司る導きの神様「瀬織津姫(せおりつひめ)」が御祭神として祀られており、潮の流れの変化が激しい関門海峡を、1800年間見守り続けています。
和布刈(めかり)神社の由来
社伝によると、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)九年(約1800年前)、神功皇后(じんぐうこうごう)が、現在の朝鮮半島である三韓の征伐に向かい、勝利したことを神様に感謝して、創建したと伝えられています。
三韓征伐の際に、海の神様である安曇磯良(あずみのいそら)から、潮の満干の法珠「満珠干珠(まんじゅかんじゅ)」を授けられました。
この、満珠と干珠は潮の満ち引きを操り「全てのものを導く役目」を果たしてきたと言われています。
全国に皇后ゆかりの神社がある中で、この満珠干珠のしるしが継承されているのは、和布刈神社だけであり「満珠干珠」は御神宝として大切に納められています。
和布刈神社の御祭神と御利益
和布刈神社の御祭神は、天照大神の荒魂(あらみたま)「撞賢木厳之御魂天疎向津媛命」(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめ) 、別名「瀬織津姫」(せおりつひめ) です。
瀬織津姫は月の女神であり、穢れ(けがれ)を祓う(はらう)禊(みそぎ)の神様。
潮の満ち引きを司る「導きの神様」ともいわれており、古くから海上交通の神様として信仰されています。
「導きの神様」であることから、人生の節目や迷いがある時に参拝すると、新たな一歩を導いてくださる御利益を、授かることができるのではないでしょうか。
和布刈神社の神事
「和布刈神事」は、神職が和布(ワカメ)・荒布(アラメ)を刈り取る祭事です。
神功皇后が「満珠干株」を授かった様子を和布・荒布で見立て、神社創建時の様子を今に伝えている祭事であり、毎年旧暦の元日に執り行われています。
和布は、万物に先駆け自然に繁茂する非常に縁起の良いものであり、万病に効くと伝えられ、朝廷や領主に献上していたと記録が残っているそうです。
1年でもっとも水が引いている時期の2月初旬、干潮になる時間帯に3人の神職の方々で執り行います。
午前2時〜3時ごろの海は暗く、3mもある大きな松明(たいまつ)を抱えてあたりを照らし、30〜40分かけて新芽の和布や荒布を刈り取るそうです。
刈り取った新芽の和布は神前に供え、一年の平穏と航海の安全、豊漁を祈願します。
和布刈神事は、昭和30年に福岡県無形民族文化財に指定されています。
★松本清張の小説「時間の習俗」では、和布刈神事のことが描かれています。
↓↓↓ 松本清張文学碑
和布刈神社の境内
↑境内案内掲示板
●和布刈神社の母屋(ひもろぎ)
↑↑↑ 母屋
母屋には神領にゆかりのある古道具の展示、作家の器や雑貨を取り扱っているカフェでもあります。
趣のある店内で、癒やされる空間です。
●和布刈神社の授与所
↑↑↑ 向かって右の建物が授与所
授与所に入ると、凛とした空間が広がっています。
授与品は、1つ1つ大切に展示されていて、洗練されたギャラリーのような感じ。
御守りや御朱印帳は、再生や始まりを意味する白を基調としており、美しく神聖さを感じました。
2019年12月に奈良の老舗、中川政七商店さんのコンサルティングにより、神紋・授与所・授与品などリニューアルされたそうです。
●和布刈神社の狛犬
授与所を通り過ぎると、狛犬が出迎えてくれます。
授与所を通り過ぎると、狛犬が出迎えてくれます。
阿の狛犬の後ろには、磐座(いわくら)
↓↓↓
吽の狛犬の後ろには、関門橋。
↓↓↓
●和布刈神社の社殿と、社殿前の鳥居
社殿は西に向かって建っており、関門海峡を見守り続けています。
社殿前の鳥居の下には海へ続く階段があり、この階段を降り和布刈神事が行われます。
昔は船で来て、この鳥居をくぐり参拝に来ている人々もいたそうですよ。
和布刈神社の「海葬」(海洋散骨供養)・思物供養
和布刈神社では、「海葬」(海洋散骨供養)や思物供養を執り行っています。
●人生最後の導きとしての「海葬」
日本では自然信仰において、祖先の御霊は自然に還ると考えられており、和布刈神社では海洋散骨供養を執り行っているそうです。
<海葬の流れ>
・海葬の場所は巌流島近く。
・出港〜帰港は40分程度。
・船上で神職が故人の御霊を清める「清祓いの儀」を執り行う。
・献花・献酒を添えて、お1人ずつお別れの言葉とともに遺骨を海にお還しします。
海葬後は、境内の海洋散骨遥拝所(上の写真)で、いつでも参拝できます。
(詳しくは和布刈神社のHPでご確認ください)
●魂の宿る大切なものを「思物供養」
日本では古来、思いが込められたものや大切に使われたものには、魂が宿ると伝えられており、和布刈神社では遺品や人形などの「思物」を供養していただけます。
大切にしてきたお雛さまや人形など、ゴミとして捨てるのは忍びないですよね。
供養していただければ、自分の心も清まる思いがします。
リトリートのひとときに・・・カフェ玄神
まとめ
↑海を挟んで向こう岸は、下関。
波の音を聞きながらの参拝は、心が癒やされるリトリートの時間でした。
私は、いつも近くの「ノーフォーク広場」から海岸沿いの遊歩道を散策して、和布刈神社へ行きます。海岸沿いを歩くと気持ちがいいですよ。
すぐ近くには、関門トンネル(歩行者用海底トンネル)の人道入り口があります。全長780mで、下関へ歩いて行けます。歩行者は無料です。
門司港レトロからは少し離れていますが、観光などで門司を訪れた際には、和布刈神社へぜひ足を運んでみてくださいね。
和布刈神社の基本情報
名称 | 和布刈神社(めかりじんじゃ) |
---|---|
御祭神 | 瀬織津姫(せおりつひめ) |
所在地 | 〒801-0855 福岡県北九州市門司区門司3492番地 |
連絡先 | (093)321-0749 |
アクセス | 【電車】 JR門司港駅より徒歩25分
【バス】 西鉄バス「和布刈神社前」下車 無料駐車場あり |
公式サイト | https://www.mekarijinja.com/ |
文・写真/供TOMOチーム ライター 小塚千楽
看護師として10年勤め、現在はフリーランスのwebライターとして活動中の小塚千楽と申します。看護師時代に、認知行動療法やヨガ・マインドフルネスに携わりました。自身でも興味を持ち、日常生活に取り入れています。自然や温泉が大好きで、心が疲れると癒しを求め神社へ足を運びパワーをいただいています。皆様に、神社の魅力やマインドフルネスのことをお伝えできたらと思います。
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