大阪市天王寺区に「いくたまさん」として大阪庶民に愛される、生国魂神社(いくくにたまじんじゃ)が鎮座しています。
今回はこの神社の概要と、縁結びのご利益を求めて若い女性が多数参拝する境内末社の鴫野神社(しぎのじんじゃ)、そして上方落語の祖と称される米澤彦八(よねざわひこはち)と「彦八まつり」についてご紹介します。
生国魂神社の概要
▲生国魂神社の鳥居と本殿
生国魂神社は、当初は現在の大阪城の地に鎮座していましたが、豊臣秀吉による大阪城築城の際に、この地に遷座されたものです。
主祭神として国土の神霊とされる生島神(いくしまのかみ)・足島神(たるしまのかみ)が祀られている神社です。生島神・足島神は、平安時代から新天皇の即位儀礼等の宮中祭祀との関係の深い神様です。
中世・近世を通じて庶民の尊崇も厚く、また戦前の社格制度においては官幣大社に位置付けられた、格式の高い神社でもあります。
古くからの社殿や神宝は、度重なる火災や戦災によって焼失されてしまい、現在の本殿は、桃山時代の「生国魂造り」の様式により再建されたものです。
▲生国魂神社の拝殿
若い女性が縁結びの祈願に訪れる鴫野神社
生国魂神社の境内には、本殿以外に皇大神宮・住吉神社・天満宮・城方向八幡宮(きたむきはちばんぐう)・鞴(ふいご)神社・家造祖神社(やつくりみおやじんじゃ)・浄瑠璃(じょうるり)神社・鴫野神社・源九郎稲荷(げんくろういなり)神社・稲荷神社・精鎮社(せいちんしゃ)といった多くの摂末社が祀られています。
そんな中でも縁結びにご利益があるとして、若い女性たちが多数参拝している神社として鴫野神社が有名です。
▲鴫野神社の鳥居とお社
この鴫野神社は、元々は大阪城にあった弁天社が、生国魂神社の末社として遷されたもので、ご祭神は市寸島比賣神(いちきしまひめのかみ)と大宮賣神(おおみやのめのかみ)です。
淀君はこの鴫野神社に足しげくお参りされ、後に淀君自身も淀姫神として、鴫野神社に祀られる様になりました。
こうした経緯から、この神社は女性の守護神と仰がれ、縁切り・縁結びにご利益があるとして、若い女性のお参りが尽きないほど有名になったのです。
小さなお社ですが、私が訪れた平日の昼下がりでも、写真撮影等をしている1時間足らずの間に3組の女性が鴫野神社にお参りされているのを見かけたほどです。
▲鴫野神社のお社
上方落語の始祖と言われる米澤彦八と彦八まつり
境内には、上方落語の始祖と言われている米澤彦八の記念碑が建てられています。
これは江戸時代に、彦八が生国魂神社の境内で辻噺(つじばなし)を披露して、多くの人々を笑わせていた縁によるものです。
▲米澤彦八の記念碑
記念碑が建てられた翌年の1991年から、毎年9月の第一土曜日と日曜日に、上方落語協会の主催による「彦八まつり」が開催される様になりました。
当初は認知度が低く、訪れる人も少なかったものの、関西ローカルテレビの情報番組に落語家が出演してPRをした事もあり、年々盛大になって来ました。
上方落語の中堅・若手の落語家が境内に多数の模擬店を出し、落語会が催され、落語家によるバンド演奏等、多彩な企画で訪れる人を楽しませています。
またサインにも気軽に応じてくれ、上方落語家と庶民の交流の場として定着しています。
【補足】今年の彦八まつりは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、「デジタル彦八まつり」として開催されるとのことです。
●日時:2021年9月5日(日)12時~20時
詳しくはこちらをご覧ください。
https://kamigatarakugo.jp/information/hikohachi/14179/
(上方落語協会のホームページ)
生国魂神社は地下鉄谷町九丁目駅のすぐ側にあり、交通の便の良い立地ですので、機会があればぜひ立ち寄りたい大阪を代表する神社のひとつです。
文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)
生国魂神社の基本情報
名称 | 生国魂神社(いくくにたまじんじゃ) |
所在地 |
大阪市天王寺区生玉町13-9 |
連絡先 |
TEL:06-6771-0002(9:00~16:00) |
アクセス |
Osaka Metro谷町線「谷町九丁目駅」より徒歩3分 |
公式サイト |
神社への奉納品をお探しの方は、供TOMO(トモ)のショッピングサイトへ。供TOMOの商品は、寺社で授与品や返礼品として採用されています。
伊勢神宮ゆかりの御神酒や「御神米イセヒカリ」、イセヒカリを焙煎した有機玄米コーヒー「カフェ玄神」など、神饌(神様へのお供え)をイメージした、自然と健康に配慮した食品を販売しております。