天理教の街、奈良県天理駅前エリア
石上神宮は、奈良県天理市の近鉄&JR天理駅から東に徒歩30分ほどの所にあります。
天理駅を降りると東に向けて大通りがあり、その周辺には天理教の本部の他、多くの関連施設・建物や天理大学の校舎が建ち並び、まさに天理教の街と言える雰囲気が漂っています。
天理教は江戸時代末期に教祖・中山みきが神の啓示を受け、その教えを人々に伝えたのが始まりとされています。天理教は金光教・黒住教等の明治時代に教派神道と称された神道系の新興宗教13団体の一つです。
初めて天理駅に降り立たれた方は、少し異様な雰囲気を感じられる方がおられるほど、天理教一色の街と言えます。
山辺の道(やまのべのみち)
天理駅から東に進むと、南北に走る県道51号に到達します。
そこを少し南に向かうと、県道の東側に石上神宮の参道入り口が現れます。参道を東の山側に向かうと、大鳥居とその奥の境内に至ります。
↑ 石上神宮の大鳥居
境内の楼門の手前右側には鏡池(かがみいけ)があり、その周辺には多くのニワトリが放し飼いにされているのが目に飛び込んできます。
鏡池の東側の木々が茂り鬱蒼とした所には、南に向けて道が伸びており、これが「山辺の道」です。この山辺の道は、桜井市の大神(おおみわ)神社から天理市の石上神宮を経て奈良市の春日大社に至る全長26kmの、日本で最古の道の一つです。
中でも古代の面影を残す大神神社から石上神宮までの16kmは、現在では大部分が東海自然歩道に指定されており、ハイキングコースとして親しまれています。
ハイキングを終えて石上神宮に到着されたハイカーの姿も、ちらほらと見られます。
↑ 山辺の道
石上神宮の由来と御祭神
石上神宮は日本最古の神社の一つで、第10代崇神(すじん)天皇の時代にこの地に祀られ、物部(もののべ)氏の総氏神として信仰されて来た神社です。
主祭神は、神剣「韴霊(ふつのみたま)」に宿られる布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)、天璽十種瑞宝(あまつしるしとくさのみづのたから)に宿られる布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ)、天十握剣(あめのとつかのつるぎ)に宿られる布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ)の三柱で、石上大神と総称されています。
健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就のご利益があるとして、現在も多くの方の尊崇を集めています。
石上神宮の建造物
石上神宮の本殿・拝殿は、楼門と回廊に囲まれた内部にあります。
↑ 楼門と回廊
拝殿は、国宝に指定されている貴重な歴史的建造物で、白河天皇が宮中神嘉殿(しんかでん)を寄進されたものと伝えられています。
鎌倉時代初期に建立された檜皮葺の神殿造りの姿を今に伝える建造物ですが、残念ながら2021年現在は、数十年に一度の屋根の葺き替え等の令和の大修繕で、建物全体が工事用の建屋に覆われており、その全体を見る事が出来ません。
↑ 拝殿正面
回廊の外側の境内には、摂社の出雲建雄(いずもたけお)神社と天神社と七座社(ななざしゃ)、そして末社の猿田彦神社と神田神社が祀られています。
摂社・末社関連の建造物として特筆すべきは、摂社の出雲建雄神社の国宝の拝殿です。
↑ 出雲建雄神社の拝殿(国宝)
この拝殿は、元は内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)にあった鎮守の住吉社の拝殿でした。
しかし神仏分離令により明治時代初期に廃寺となり、また住吉社も焼失して拝殿のみが残されていたものを、大正3年にこの地に移築されたものです。
この拝殿は、1137年に建立され、その後2回の改築を経て、現在のユニークな構造・形式になったと考えられています。
立ち入り禁止の小さな注意札はあるものの、国宝とは思えない、無造作な管理には少し驚かされます。
今回の神社巡りでは、鄙びた大和路にひっそりと鎮座する石上神宮と、天理教の圧倒的な建築物群の落差に、色々と考えさせられました。
国宝の拝殿の修繕が完了すれば、再び石上神宮を訪れたいと思っています。
文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)
石上神宮の基本情報
名称 |
石上神宮(いそのかみじんぐう) |
主祭神 |
布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ) 布留御魂大神(ふるのみたまのおおかみ) 布都斯魂大神(ふつしみたまのおおかみ) |
配祀神(はいししん) |
宇摩志麻治命(うましまじのみこと) 五十瓊敷命(いにしきのみこと) 白河天皇(しらかわてんのう) 市川臣命(いちかわおみのみこと) |
所在地 |
〒632-0014 天理市布留町384 |
連絡先 |
電話:0743-62-0900 FAX:0743-63-3124 |
アクセス |
JR&近鉄奈良線「天理駅」より |
公式サイト | http://www.isonokami.jp/ |
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