平成から「令和」という新しい時代に切り替わり、一度は訪れて欲しい奈良県の橿原市にある橿原神宮。
今回は《日本のはじまりの地》と呼ばれるこの場所を紹介していきます。
日本建国の地、橿原神宮
約2600年前に初代天皇である神武天皇が橿原に皇居を造られました。日本書紀にも“初代天皇即位の地”と記されています。
つまり“初代天皇即位の地”ということで、日本のはじまりの地と呼ばれるようになりました。
明治時代に入り、「橿原に神宮創建を」という請願書が民間有志より出されました。
そして明治23年4月に創建。
明治時代に創建されたということで、実は神社としてはまだ新しい方ともいえる橿原神宮。
建てられたのはそれほど古くはありませんが、《初代天皇即位の地》ということで非常に格式が高く、現在でも皇族の方々の参拝があります。
以来、第一代天皇と皇后を祀るお社として日本全国から崇敬を集めてきました。
▲高さ4.5m、幅5.4mの巨大な絵馬が有名。思わず写真を撮りたくなる大きさです。
広大な敷地と自然と美しい景観
近鉄「橿原神宮前駅」から徒歩約10分。
まずは神域の入口となる鳥居が10m級の素木造り(しらきづくり)の大鳥居の大きさに圧倒されます。
▲色を塗らずに木の地肌や風合いをそのまま生かした素木(しらき)造り。
一般的に、ご祭神が「天皇」もしくは「天皇や天照大神の系譜」の神社の場合、鳥居は素木造りといわれています。
表参道の両脇には、神武天皇の即位2600年をお祝いする人々によって1本1本、祈りを込めて植えられました。
橿原の地名にちなんで植えられたカシ類を主とする樹木7万6,000本余りの緑にとても癒されます。
また、広大な敷地には白い砂利が敷き詰められ、整然とした清々しい空気感がまた外の世界と隔離されたような非日常を味わえます。
贅沢に配置された拝殿や本殿などの建造物と相まって、ゆったりとした時が流れる。奥に見える内拝殿(ないはいでん)の美しさに心が洗われます。
橿原神宮の御祭神とご利益
橿原神宮には、神武天皇とその皇后・媛蹈韛五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ)が御祭神として祀られています。
神武天皇が幾度の困難に打ち勝った方であることから、勝負運、出世運に御利益があるとされ、遠方からもご神徳にあやかろうと一年中参拝者が絶えません。
本殿は元京都御所から移築された賢所(かしこどころ)であり、この本殿と文華殿(ぶんかでん)は重要文化財にも指定されています。
畝傍山(うねびやま)を背に、初代天皇をお祀りするために神社建築の粋を尽くした入母屋造(いりもやづくり)でつくられており、この広がっていくような屋根の形は「争うことなく一つの屋根の下で肩を寄せ合って暮らせる世界を」という神武天皇の理想を表しています。
全体的に神社の朱色などの塗料が塗られていないため木肌が見え、落ち着いた雰囲気になっており、外拝殿、廻廊部分や灯籠など日本建築の良さと歴史を感じさせます。
また、畝傍山、深田池など自然豊かな場所なので、春から夏は緑との調和が美しく、秋には紅葉を楽しめます。
自然豊かな深田池は、奈良県内でも有数の野鳥の飛来地です。
池の周りを歩いていると様々な種類の鳥の鳴き声が聞こえてきますよ。
遊歩道も整備されていて、池の畔をゆっくり散策することができるので、参拝後ぜひ池の周りをぐるりと一周立ち寄ってみてください。
万葉集でも詠まれた畝傍山(うねびやま)
日本建国の聖地を麓に抱く畝傍山・耳成山(みみなしやま)・香具山(かぐやま)は「大和三山(やまとさんざん)」と呼ばれており、古くから人々に親しまれてきました。
「万葉集」には、大和三山を《男女の三角関係》に見立て、額田王(ぬかたのおおきみ)をめぐる中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と大海人皇子(おおあまのおうじ)の恋の対立の舞台としても詠まれています。
〜香具山は畝傍山をめぐって耳成山と争った。遠い昔の神代からこうだったのだから、今も人は愛をめぐって争うのだろう〜
畝傍山は高さ約200mほど。
橿原神宮の北参道にある登山道入口から山頂まで30分ほどで登れる初心者に優しいコースなので、ぜひ登拝をおすすめします。
歌に出てくる耳成山と香具山を望むことができます。
古事記や日本書紀などにも出てくる橿原神宮は日本の原点とも言えるエリアであり、古代ロマンが感じられる場所です。
《新しい時代》に《新しい自分の始まり》を
日本はじまりの地で、心を静めて神様にお願いしたとき、背中をそっと押してもらえるかもしれません。
橿原神宮の基本情報
名称 | 橿原神宮(かしはらじんぐう) |
所在地 |
〒634-8550 奈良県橿原市久米町934 |
主祭神 |
神武天皇、媛蹈鞴五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ) |
連絡先 |
TEL: 0742-22-7788 FAX: 0742-27-2114 |
アクセス | 近鉄「橿原神宮前駅」下車、徒歩10分 |
参拝情報 |
拝観料:境内無料(宝物館は300円) 開閉門時間:【4月1日より】 |
公式サイト |
文・写真/供TOMOライター 菊入みさ
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