今回紹介するのは、奈良市春日野町に位置する奈良公園の一角にある「春日大社」です。
奈良の有名な観光スポットとして東大寺と合わせてまず思い浮かぶのではないでしょうか。
奈良市最大の神社である春日大社
創建は現在から1300年ほど前の奈良時代に遡り、
768年、平城京の守護と国民の繁栄を祈願するために創建された神社です。
春日山原始林に続く御蓋山(みかさやま)の麓に鎮座する藤原氏の氏神を祀っていて、全国の約3000社の春日神社の総本山でもあります。
▲二の鳥居前
春日大社について
平成10年に「古都奈良の文化財」の一つとして
春日大社と春日山原始林が世界遺産として登録されています。
現在の春日大社の広さは約100ヘクタールほどで、江戸時代では現在の約10倍の広さがあった。この広さからして当時はかなり権力をもっていたようです。
一の鳥居から御本殿まで長い参道
時間がもしあれば、一の鳥居から参道を通って本殿まで参拝してみてください。
一の鳥居から本殿までは結構な距離がありますが、
参道の玉砂利を踏みしめながら少しずつ神様に近づいていきます。
参道を一歩ずつ一歩ずつ進むというのは、
徐々に穏やかに清らかになっていく行為といえます。
春日の参道には本殿に至るまでにおよそ、八本の小さな橋があり、
橋を渡るたびに一つ一つ身が清められていくと考えられています。
燈籠の数が日本一
春日大社には奉納された燈籠が「石燈籠」と「釣燈籠」あわせて
3,000基もあり、日本一燈籠の多い神社といわれています。
また、《“春日大明神”》と記された石燈籠を一日で3基以上見つけられたら
大金持ちになれるといった燈籠にまつわる言い伝えもあります。
榎本神社【春日大社・摂社】
そして、ニノ門から歩いて南門の手前近くに「榎本神社」が見えてきます。
あまり知られていませんがこの榎本神社には
「春日大社創建前」の春日神(かすがのかみ)
つまり、元々この土地に棲まれていた土地神様が祀られており、
こんな逸話があります。
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過去、春日大社の敷地は全て榎本神社の神様のものでした。
そこへ、春日大社の祭神である
武甕槌命(タケミカヅチノミコト)が降り立ち、この御蓋山、春日野の土地をえらく気に入りました。
元々ここに棲んでいた榎本神社の神様に
「この土地を丸ごと、地下三尺分(約1m)まで譲っていただきたい」と交渉しましたところ、榎本神社の神様は耳が遠く「三尺分だけの面積」と勘違いして快諾してしまったのです。
結果、土地の全部丸ごと武甕槌命が自分のものにしてしまいました。
春日野の土地を事実上全て手に入れてしまった武甕槌命から、かつての「土地神」としてわずかに土地を分け与えてもらい、今の榎本神社の場所に鎮座されました。
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本殿を参拝する前に、ぜひ元々の土地神様「榎本神社」にも挨拶していきましょう。
強力な神様たちを合わせて生まれた春日神
春日大社がすごいところは、
これだけの神様が揃っているところは他にはないということです。
平安時代、「神宮」とよばれる神社はこの三社だけでした。(日本三大神宮)
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鹿島、香取両神宮の神様は「天上界」から鹿島、香取の地へ降りてこられました。
そして鹿島の神様(武甕槌命)が白鹿に乗って
この御蓋山に降り立ったのが始まりとされます。
また、社殿を建立する際に御蓋山にお迎えしている武甕槌命のみならず、
「香取神宮」からは経津主命(フツヌシノミコト)という神様と
「枚岡神社」から天児屋根命(アメノコヤネノミコト)、比売神(ヒメガミ)
この三社の四つの神様をお迎えし、合わせたものを「春日神」と呼びます。
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三つの神宮のうち、二つの神宮の神様を迎え入れるだけでもすごいと思うのですが
さらに、祝詞を最初につくった枚岡神社の神様も迎えており、
例えるなら神様オールスター大集合といった感じです。
こんなにパワフルな神様がたくさん集まっていると、
願いもスピーディに叶えてくれそうな気がしますね。
鹿の歴史
神の使いとしてやってきた白鹿がこの春日野の地で子孫を産み、それが「奈良の鹿」になったと言われています。
こうやって奈良の鹿は「神鹿=神様の使い」として古くより奈良の人々に保護されており、「春日大社」付近で自然繁殖してきました。
室町時代以降では鹿を殺した者は死罪になるほど重い罪だったそうです。
現在は「奈良公園」周辺に1,000頭ほどの野生の鹿が生息しています。
隠れた見どころ「藤浪之屋」がおすすめ
神社としては珍しく「特別参拝料金」をお支払いすると
春日大社の中心である「本殿」一帯のエリア参拝することができます。
足を踏み入れると、美しい朱色が目に飛びこんできて
まるで、古の時代にタイムスリップしたような感覚が味わえます。
ここのエリアにある「藤浪之屋」(ふじなみのや)も忘れず足を運んで欲しいです。
年に3回、(節分とお盆の14日15日)
その全ての灯篭に火をともす「万燈籠神事」を常時体験して欲しいとの想いから、
元々神職の詰め所であった藤浪之屋を開放しています。
ここから中に入ると…
万燈篭を再現…暗闇に光る燈籠が息をのむほど美しい。
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特別参拝のコースでは他にも「七種寄木」や「りんごの庭」
国の重要文化財に指定されている内侍殿・直会殿などの
貴重な建造物も見学することができます。
また、若宮15社巡りや、珍しい植物がある萬葉植物園や鹿苑等など、
隠された魅力がたくさん。あなたのお気に入りスポットを見つけてみてください!
春日大社の基本情報
名称 | 春日大社(かすがたいしゃ) |
所在地 |
〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160 |
連絡先 |
TEL: 0742-22-7788 FAX: 0742-27-2114 |
アクセス |
JR奈良駅、近鉄奈良駅から奈良交通バスで |
参拝情報 |
本殿特別参拝料金:500円 本殿の拝観時間:9時~16時 ※祭典都合により時間が前後する場合があります。 ※上記以外に臨時の祭典等により拝観できない場合があります。 |
公式サイト |
文・写真/供TOMOライター 菊入みさ
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●文中に登場した、日本三大神宮のひとつ「鹿島神宮」の記事はこちらです。
●神の鹿がつないだ鹿島神宮と春日大社・・・そして兵庫県宝塚市の熊野神社にも伝説に鹿が登場します。
●供TOMOの「御神米イセヒカリ」を授与品として採用いただいております兵庫県宝塚市の熊野神社には、春日大社にお供えの塩を運んだ鹿の夫婦の伝説があり、かわいいアニメーションで紹介されています。
神の鹿がつないだ神社のネットワーク・・・まだまだありそうですね。ご存知の方はぜひSNSで教えてくださいね!
次回は、熊野那智大社、那智の滝をご紹介します。