神様のごはん【神饌(しんせん)】のお話

神様のごはん【神饌(しんせん)】のお話

【神饌】とは?

 

神様に献上する供物を神饌(しんせん)と呼びます。いわば「神様の食事」です。



主食のお米をはじめ、お餅、お酒、お塩、お水を基本として、

季節の恵みである海の幸、山の幸、その季節に集まる最上のごちそうを集めて献上します。

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さらに、身を清めた神職によって古くからの供え方・作り方をできる限り守り、

真心をこめて丁寧に調理していきます。



盛り方、供え方にも決まりがあり、神様に失礼がないようにと細部まで心を尽くします。

こうやって神饌を通じて感謝の気持ちを表します。



神社によって神饌、供え方に多少の違いはありますが

できる限り、美味しいもの、美しいものを供えたいという気持ちは同じでしょう。


神饌のはじまり

 

神饌はいつから続いているのでしょう。



歴史を紐といてみると平安中期の「※延喜式(えんぎしき)」にはすでに、

神社でどんな神饌が献上されるか詳しく書かれていました。

(※延喜式とは当時の朝廷の儀式・作法・事務手続きなどの格式集。)



この頃から、農産物から海産物まで多種多様な品々を供えていました。

 

時代は変わり、明治時代になると神社祭式の規定ができて、

神社の社格に応じた神饌の内容、供え方、作法まで決められて現代まで脈々と受け継がれてきました。

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神様の力をいただき繋がるー神饌と直会ー

 

日本人は古来、四季折々の祭りを大切にしてきました。

 

お祭りで神様を酒や食でおもてなしをして、その後、神様に供えられた酒や食を参加者一同でいただく。

 

このように、お供えし下げた神饌をいただくことを「直会(なおらい)」と言います。

 

神道では、神様にお供えした食べ物には特別な力「神様の御加護」が宿るとされ、

神様の力が宿った食べ物を食べることで恩恵を受け、神様の結びつきが強まると考えられてきました。

 

誰かと一緒に食事をすると「心の距離」が縮まるように、

同じ食事(神饌)を介して神様とコミュニケーションを図ってきたのかもしれませんね。

 

私たちはお祭りや神社以外で神饌を目にすることはないと思われるかもしれないが、

実は身近な暮らしの中にも神饌があります。



例えば、お正月の鏡餅

 

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鏡開きでは、床の間に供えた鏡餅を開き、おしるこなどにして食べます。

 

私も小さな頃から「鏡開きのお餅を食べると病気にならないから残さず食べなさい」とよく言い聞かされてました。

 

これもまた神饌と直会のひとつです。

 

1500年の祈り、究極の神饌

 

神饌のなかでも「究極の神饌」と称されるものが伊勢神宮の「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」です。

 

天照大御神に食事を捧げるという神事です。

 

献上する神饌をお水、塩、酒、お米、野菜、魚介類、食器にいたる全て自給自足で準備します。

 

お水は外宮の上御井神社(かみみいじんじゃ)で汲み、米も野菜も専用の田畑でつくり、塩も専用の塩浜でつくられて献上されます。

 

さらに、神饌の調理は「忌火屋殿(いみびやでん)で行い、

神職の方が一から火をおこして、その火を調理に使います。



また、朝夕の食材が重ならないように配慮しながら

外宮の御饌殿(みけでん)にて約1500年間365日、朝夕の二回を一日も欠かさず

戦時中でも、ひどい台風の中でも腰まで水に浸かりながらでも、

ずっと毎日国家の繁栄と国民の幸福》を祈り、感謝を捧げてきました。



日々の営み、神事として毎日欠かさず続けてきたことが本当に素晴らしいことだなと思います。

 

 

 

神饌というのは言うならば、《神様への気持ちの表れ》であり、

《目に見える形》で神様に気持ちを表現する方法だと思います。



人間同士でも気持ちを表すのは難しかったりしますが、

相手が神様ならなおのことでしょう。



だからこそ、私たちができる限り真心を尽くすことが大切だと思います。


きっと、こういった考えから日本の「おもてなし文化」が生まれたのかもしれません。

 

文・写真/供TOMOライター 菊入みさ

 

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改めて知りたい「【神道】ってなんだろう?」(前編)改めて知りたい「【神道】ってなんだろう?」(後編) もぜひお読みください。

 

★供TOMOは、日本の「神饌」をイメージした商品づくりを行っています。伊勢神宮ゆかりの「御神米イセヒカリ」、農産物そのものの甘味が楽しめる「丹波黒豆グラッセ」「ドライ富有柿」などが、供TOMOオンラインショップで購入いただけます。

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