●神棚を祀ろう
「神社が好き」と一口に言っても、お社を見るのが好きな方、鎮守の杜としての静謐な空気や自然に触れたい方、お祈りやお願いがしたい方、おみくじを引きたい・御朱印をいただきたいという方、さまざまな方がいらっしゃると思います。
しかし、皆さんに一つだけ共通していることがあるのではないかと、参拝に来られる方々との触れあいのなかで私は感じました。
それは、「神様との時間」を過ごしたいということです。
八百万の神々とよく言われるように、神道では森羅万象のなか、路傍の石や一粒の砂にも神様が宿っておられると考えています。
神々に崇敬の念を持ち、感謝の気持ちをお伝えする時間は、忙しい毎日のなかで、緊張が和らいだり、心にゆとりができたりするとても大事な時間ではないでしょうか。
この、「神様時間」をさらに身近に感じることができるのが「神棚」だと、私は考えています。
●神棚にもお作法はあるの?
神社の参拝にお作法があるように、神棚のお祀りの仕方にもお作法があるのではないかと、敷居の高さを感じておられる方は多いと思います。
ですが、お作法とはなにかというと、神様を敬う心を示すものではないでしょうか。
もちろん、神棚をお祀りするときにもお作法的なものはありますが、お作法どおりでなければご利益が得られないとか、神様を怒らせてしまうとか、そういったことはありません。
神棚が気になっておられる方はまず、「神様を家にお迎えしたい」と思うその気持ちを、一番に大事に思ってくだされば幸いです。
●神棚をどこに造るか
家に神棚を置くのであれば、まず考えるのは配置です。
古い家には神棚をお祀りするための場所が設けられていることも多いですが、アパートやマンションなど、新しい住宅の多くは神棚をお祀りすることを前提に造られているわけではありません。
その場合、どこに神棚を造るかという問題があるかと思います。
さて、神社はある方角に向けて建てられることが多いのですが、それはどの方向でしょうか?
答えは、太陽が昇る方向(東・南)です。
家に神棚をお造りになるときも、まずは神様(神札の文字)が東か南に向くような場所はないか、探してみてください。
できればトイレやお風呂場の裏や、人が出入りする扉・ふすまの真上、じめじめした場所などを避けるといいですね。
どうしても場所がない!という方は、たんすなどの上を清潔にして、そこに奉書紙や半紙を敷くといいでしょう。
最近は壁掛けタイプの神棚などモダンなものも多数ありますので、住宅事情に合わせて探してみるといいかもしれません。
●宮形(みやがた)は大きく分けて2種類
神社でいうご本殿にあたるものを「宮形(みやがた)」といいます。
一般的に「神棚」というとこの「宮形」のことを指しますが、厳密にはお札を納めるお社を「宮形」、宮形を含む、お供えなどをお祀りする木の板などのことを「神棚」と呼んでいます。
宮形には一般的には大きく分けて2種類あります。
御扉が1つの「一社造」と、御扉が3つある「三社造」です。
どちらが良い、悪いというものではありませんので、神棚の広さに合わせて選ばれると良いかと思います。
神棚を初めて飾られるときや、宮形を変えるときには、神職にお祓いをしていただくとなお良いでしょう。
●神札の納め方
神札の納め方は、宮形の種類によって異なります。
一社造の場合は、全ての神札を一つの御扉のなかに納めることになります。
この場合、もっとも手前に「神宮大麻」を納め、その後ろに「氏神神社」のお札、さらにその後ろに「ほかの崇敬神社」のお札を納めます。
「神宮大麻」は伊勢の神宮により頒布されていますが、全国の多くの神社でもいただくことができます。
「氏神神社」をどこと捉えるかは時代の変遷とともに移ろっているのですが、生まれ育った土地の神様か、現在お住まいになっている地域の神様と考えるといいでしょう。
「ほかの崇敬神社」とは、伊勢の神宮でもなく、氏神神社でもない神社のことをいいます。
次に三社造の場合です。
三社造の場合は、真ん中の御扉に「神宮大麻」、向かって右側の御扉に「氏神神社」、向かって左側の御扉に「ほかの崇敬神社」の神札を納めます。
崇敬神社が複数ある場合は、左側の御扉に重ねて納められるといいでしょう。
●しめ縄の張り方
可能であれば、神棚にしめ縄を張りましょう。
しめ縄を張ることで、そこが神聖な場所であることを示します。
しめ縄には一定の太さのものもあれば、一本のしめ縄でも太さが異なるものもあります。
どちらか一方が太いしめ縄の場合は、向かって右側が太く、左側が細くなるようにお飾りしてください。
紙垂(しで)は聖域を表すものであり、また、雷を想起させます。
雷は稲の生育を促すため豊穣を象徴するとともに、邪気を祓います。
ぜひ、神棚には紙垂をつけたしめ縄を張ってみてください。
ここまででお社の準備が整いました。
●お札・しめ縄は一年に一度、新しいものに
お札やしめ縄は「神様」そのものではありません。
長く使っていると、モノに宿る神様のエネルギーは少しずつ弱まっていってしまいます。
しめ縄はお正月の準備をするときに、お札はお正月を迎えたときに、新しいものに取り替えましょう。
新しいお札やしめ縄に宿る新しいエネルギーで、また一年、神様の息吹を感じる神棚にお参りされるのが望ましいですね。
●お供えの仕方
神棚のお供えの基本は榊(さかき)です。
榊が植生していない地域では、ヒサカキや杉、ヒバなどが使われることもあります。お住まいの地域に合わせてご用意ください。
日常の神饌(お供えもの)は、米・塩・水です。
真ん中に米、向かって右に塩、向かって左に水の順番でお供えしましょう。
お正月や毎月の1日・15日、家族にとっての重要な日などにはさらに、酒や野菜、果物などもお供えします。
ここまでが一般に言われる「神棚のお作法」です。
あとは、お客様からいただいたお菓子を一緒にお供えするとか、ご自身のお気持ちに従い、神様との時間をお過ごしになるのが一番良いのではないでしょうか。
型を意識しすぎると、神様への思いも遮られてしまったり、神棚をお参りする習慣が崩れてしまったりします。
それよりは、日常に神様がいらっしゃることの喜びを感じられること、まず、手を合わせてみるというような心持ちで始められると良いと思います。
●毎日の参拝
お供えが済みましたら、二拝二拍手一拝の作法で参拝をしましょう。
日々の参拝のほかにご報告したいことがあるときや、心のなかにわだかまりがあるときなど、神様との時間を過ごしたいときに参拝されるといいですね。
私も、神様に手を合わせることができる幸せな時間を毎日経験しています。
神様に向けて、家族をお守りいただくようお願いをしたり、感謝の気持ちを打ち明けたりするたびに、その尊さを感じます。
●まとめ
「神社が好き」と思っておられるなら、ぜひ家に神棚をお祀りすることをご一考ください。
きっと、これまで以上に神様との結びつきが強くなり、ご縁を感じるようになるのではないでしょうか。
お参りをするなかで、ご自身の心のありようが変わっていくこともあるかもしれません。
まずは神棚を設け、神様に向かい、手を合わせてみる。
そんな「神様時間」を作ってみてくださいね。
文・写真/供TOMOチーム ライター 高梨和葉
【プロフィール】岩手県在住。学生の頃より10年以上、祈祷所や授与所にて巫女として助勤を経験。神社を身近に感じるとともに、神社や神道について強い関心を持つ。また、日本独自の文化である神道を主軸に地方に散見している民間信仰についても研究中。
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