奈良市に「菅原の里(すがわらのさと)」と呼ばれる地域があります。
平城京の西ノ京の北西に位置する辺りで、平城遷都以前から、この名前で呼ばれていました。この地域は、菅原氏の発祥の地で、奈良時代には隆盛を誇っていました。菅原道真が生まれたと伝えられている所です。
本記事では、この菅原の里にある「菅原天満宮」と、「菅原寺(すがわらでら)(現在は喜光寺(きこうじ))」をご紹介します。
菅原道真の生誕の地に立つ、日本最古の天満宮
学問の神様として信仰を集めている菅原道真は、この菅原の里に生まれたと言われています。
菅原道真が生まれたのは、平安遷都後から50年ほど経った845年ですが、平安京に暮らしていた母君が、菅原の里に戻って出産されたのです。道真公が産湯を使った産湯池の遺跡とされる所が、この天満宮の東約100mの所にあり、石碑が建てられています。
そんな伝承がある菅原の里に、ひっそりと菅原天満宮が鎮座しています。
天満宮の鳥居をくぐると、静かな境内が広がっています。そして境内正面に、拝殿・祝詞殿・本殿が一直線に並んで建っており、何の変哲もない神社に見えます。
拝殿の前にある石造の臥牛や梅の木、そして筆塚が、道真公のゆかりの地であることを思わせてくれるだけです。
天満宮としては、北野天満宮と太宰府天満宮が有名で、多くの方が訪れますが、この両天満宮に並んで重要な意味を持つのが、日本最古の天満宮である、この菅原天満宮といえます。しかし、ここが菅原道真の生誕の地である事は余り知られておらず、訪れる人も決して多いとは言えません。
機会があれば、奈良市の菅原天満宮も訪れ、ぜひ多くの方に参拝願いたいと思います。
試しの大仏殿として有名な「喜光寺(菅原寺)」
喜光寺(きこうじ)は菅原の里に古くからあり、菅原寺(すがわらでら)と称されていました。748年に聖武天皇が、この寺院を参拝された時に、本尊の木造阿弥陀如来坐像が不思議な光を放って見えた事に感動され、喜光寺への改名を授けられたと伝えられています。
現在は、戦国時代に焼失し2010年の平城遷都1200年の際に再建された南大門と、重要文化財に指定されている本堂が、伽藍(がらん)としての大きな建築物です。
この本堂は、東大寺の大仏殿が建立される前に、行基(ぎょうき)により建立された事から、「試しの大仏殿」と呼ばれています。
現在の本堂の高さは17mで、大きいとは言うものの、大仏殿とは比べものになりません。しかし、行基が建立した本堂は、1499年焼失し、現在の本堂は1544年に再建されたもので、創建当時の本堂は現在のものより大きかったと伝えられています。
夏に訪れると、蓮の花が境内に咲き誇り、一段と有難味を感じられる寺院です。
菅原の里を訪れる際に立ち寄って欲しい「垂仁天皇陵」
菅原の里を訪れられた際には、「垂仁天皇陵(すいにんてんのうりょう)」にも立ち寄られると良いでしょう。垂仁天皇陵は、正式には菅原伏見東陵(すがわらのふしみのひがしのみささぎ)で、前方後円墳です。
この菅原伏見東陵は、菅原の里の最寄り駅である、近鉄橿原線の尼ヶ辻駅のすぐそばで、北西に徒歩10分余りの所にある菅原天満宮、菅原寺を訪れる際には、ぜひ立ち寄っていただきたい所です。
文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)
菅原天満宮の基本情報
名称 | 菅原天満宮(すがわらてんまんぐう) |
御祭神 |
天穂日命(あめのほひのみこと) |
所在地 |
〒631-0842 奈良県奈良市菅原町518 |
アクセス |
近鉄尼ヶ辻駅、近鉄大和西大寺駅 近鉄尼ヶ辻駅から徒歩10分、近鉄大和西大寺駅から歴史の道徒歩15分 |
お問合せ |
TEL:0742-45-3576/FAX:0742-45-3518 |
公式ページ |
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