日本最古の歴史書である「古事記」。
その一節である「因幡(いなば)の白うさぎ」は小学校の国語教科書にもとりあげられている老若男女おなじみの有名な神話ですが、その白うさぎを主神としてお祀りしているのが鳥取県にある白兎(はくと)神社です。
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因幡の白うさぎの物語
ある日、兎はサメに嘘をつき、その背をかりて淤岐ノ島(おきのしま)から因幡まで海を渡ろうとします。ところが、噓がばれて毛皮をはがされ大けがをおいました。
因幡の「八上比売(やがみひめ)」に求婚しにきていた「八十神(やそがみ)」は、その兎をみつけると面白がって「海水を浴びて、強い風と日光にあたって寝ていればなおる」と嘘を教えました。そのとおりにした兎は余計に傷みがひどくなるばかりです。
そこへ八十神の荷物運びをしていた大国主命(おおくにぬしのみこと)が遅れてやってきて、泣いている兎に声をかけ理由を聞きました。すると今度は「真水で体を洗いガマの穂をほぐしたところへ寝転びなさい」と教えられ、言われたとおりにすると今度はすっかりよくなりました。
感謝した兎は
「八上比売は八十神ではなく、心の優しいあなたと結婚するでしょう。」
と予言し、果たして2人は結ばれました。
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この神話の内容から、白兎神社は日本医療・動物医療発祥の地とされ、皮膚病・やけど平癒にご利益があるとされていています。さらに大国主命と八上比売の仲を取り持ったことから縁結びの神としても信仰されており、2010年には「恋人の聖地」に認定されました。
戦乱に遭い、詞廟古書などが焼失したため創祀年代は分かっていませんが、現在の社殿は慶長年中(1596~1615年)に再建されました。白兎神 (はくとしん・はくとかみ) を主神として、保食神(うけもちのかみ)、豊玉売(とよたまひめ)を合祀して御祭神としています。これは戦国時代の豊臣秀吉による鳥取城攻めの際、近くにあった神社も焼失し、そちらの祭神を合祀したためです。有名な鳥取の飢え殺し(かつえごろし)の一戦ですね。
どこもかしこもうさぎだらけの境内
それでは白兎神社の境内へと向かっていきましょう。
駐車場は隣接している道の駅「神話の里白うさぎ」と共用になっています。車を停める際に白うさぎと大国主命のかわいい石像が出迎えてくれました。
ちなみに、道の駅では本物のうさぎ駅長がお出迎えしてくれますよ。
大鳥居横にはピンクのポストが設置されており、ポスト内に白兎神社で縁結びの祈願を受けた御札が収められているそうです。神社に葉書はありましたが切手は販売していないのでここから投函したい場合は事前準備しておきましょう。ポスト隣では鯛焼きに似た名物「うさぎ焼き」が販売されています。
鳥居の前で軽くお辞儀をして、境内へと進んでいきます。白兎神社は小高い砂丘の上にあるため、本殿は階段をあがった先にあります。階段をあがったところに大国主命と八上比売、そして白兎の砂像が作られていて、鳥取らしいなと思いました。近くに蒲も植えられています。
ここから先、参道の真ん中は神様の通る道なので、参拝者は左右どちらかに寄って歩いていきます。それを先導してくれるかのように、両側に飛んだり跳ねたり立ちっていたりと様々なポーズをしたかわいいうさぎの石像がずらりと並んでいて、その兎たちの足元や頭にたくさん白い石が積まれています。
これは社務所で授与品としてお頒かちされている「結び石」というもので、「良縁、子宝、繁昌、飛躍、健康」の五縁を結んでおり、石には「縁」と赤い刻印がされています。もとは鳥居の上に投げ上げて五縁を呼び込んでいましたが、乗せるのがなかなか難しいので兎の石像に奉納したり、持って帰って縁起物としてもいいそうです。
必見の注連縄と菊座石
池を横目に進むと、拝殿がみえてきました。
参拝の作法は一般的な「二拝二拍手一拝」です。注連縄は出雲大社と同じところから奉納していただいており、そのため綯い始めが左にあるという珍しい形式なのだそうです。大国主命との縁からでしょうか?
御本殿は奥にあるため拝殿からまわりこんでいきます。
明治29年再建立、平成24年に改修されており、大きくはありませんが立派なお社でした。右手に「菊座石」という看板が掲げられているので読んでみると、本殿を支える土台の石に菊の紋章が彫刻してあることから神社創設に皇室と何らかの関係があるといわれているとのことでした。
中に入ることはできないので石柱の間をのぞくと、確かにうっすらですが模様のきざまれた土台をみることができました。
社務所への立ち寄りもお忘れなく
帰りに社務所へ立ち寄ると、お守りやお札、先ほどの結び石が所せましと並んでいます。お守りならぬ肌守りやあぶらとり紙などの神話にひっかけた授与品もありましたが、名入りで旅の思い出として持ち帰って飾っておけるこちらを手にとりました。
うさぎのおみくじです。(おみくじ自体は神社で結んできました。)
御朱印もこちらで受付になります。(9時~16時)
帰り道は、目前に参道と海が広がり、絶景を堪能できます。
最後に白兎海岸まで歩いて淤岐ノ島(おきのしま)を眺めてきました。
ここに来るまで白うさぎは島根県の隠岐の島からワニザメの背を数えながら因幡に渡ってくるのだと勘違いしていました。白兎海岸から150mほど沖合に鳥居の立っている島があり、それが兎のいた淤岐ノ島だそうです。
サーフィン客を横目に、近そうで遠い向かい岸まで自分ならどう渡るかな?と考えながら広がる景色を目に焼き付けました。
文・写真/供TOMOチーム 那賀川まゆみ(徳島県在住)
【プロフィール】
はじめまして。那賀川まゆみと申します。
大学時代に京都に住んでいたことや、その後旅行会社で添乗業務をしていたこともあり、たくさんの神社を参拝させていただきました。
その後、婚家が地元の氏子総代をしていることからそのお手伝いをするうちに、神道そのものにも興味がでてきて今に至ります。
普段は気にとめませんが、生活に溶け込んでいる神道。日本人の心の拠り所であるこの宗教や文化をより身近に感じてもらえらたら幸いです。
白兎神社の基本情報
名称 | 白兎神社(はくとじんじゃ) |
所在地 |
〒689-0206 鳥取県鳥取市白兎603
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御祭神 |
主神:白兎神(ハクトカミ または ハクトシン)
保食神(ウケモチノカミ)、豊玉比売(トヨタマヒメ)
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公式ページ |
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