ならまちの御霊神社(ごりょうじんじゃ)、庚申堂(こうしんどう)と元興寺(がんごうじ)| 神社めぐり

ならまちの御霊神社(ごりょうじんじゃ)、庚申堂(こうしんどう)と元興寺(がんごうじ)| 神社めぐり

ならまちについて

ならまちとは、奈良の旧市街地。猿沢池(さるさわいけ)の南側に広がるエリアを指します。通称名で、行政上の町の名前ではありません。格子が特徴的な、古い町家が建ち並びます。

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町家には住居以外に昔ながらの店舗もあり、さらに観光客の増加に伴って町家をリノベーションした小物雑貨店やカフェ、飲食店が増え、特徴ある小さな私設博物館も点在しています。コロナ禍で開館していないこともありますが、町家の内部を無料で見学できる「格子の家」もあり、町家での生活を垣間見る事も出来ます。


また町家が建ち並ぶ中心エリアには、庶民の信仰を集める御霊神社・奈良町庚申堂や、世界遺産の元興寺があります。


奈良公園と周辺の興福寺・東大寺・春日大社で受ける奈良の印象とは違った風情を感じられるエリアとして、徐々に訪れる人が増えています。

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御霊神社

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御霊神社は、奈良時代には広大な境内を持つ大寺であった、元興寺の南門があった辺りに祀られています。

この御霊神社は桓武(かんむ)天皇の勅命により創祀された神社で、主祭神は光仁(こうにん)天皇の皇后の井上(いがみ)皇后です。井上皇后は、天皇を呪詛したとのあらぬ疑いをかけられ、皇后位を剥奪され吉野の五条に幽閉され、そこで亡くなられました。

奈良時代や平安時代には、無実の罪を着せられ、非業の死を遂げた人の魂は怨霊となって災いをもたらすと恐れられていました。しかしその怨霊を丁重にお祀りすることで、御霊となり守護してくれる神に転じるとの御霊信仰(ごりょうしんこう)があり、この地に井上皇后を祀る御霊神社が創祀されたのです。

現在、この神社には本殿と本殿東側社殿と本殿西側社殿に、井上皇后を含めて八柱がご祭神として祀られており、拝殿にはこれを示す「八神殿」の額が掲げられています。

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また境内末社としては、出世稲荷神社・祓戸社(はらえどしゃ)・若宮社・水蛭子社(ひるこしゃ)が祀られています。

このうち出世稲荷神社のご利益としては、開運出世・縁結び・五穀豊穣・商売繁盛・夫婦円満・交通安全・病気平癒などが挙げられますが、なら町を散策する若い女性の間で、縁結びのご利益があると評判になり、良縁祈願のハート形の絵馬が多数奉納されています。

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またこの御霊神社の鳥居の両脇に配された狛犬の足には、赤い紐が多数結ばれています。

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これは「狛犬の足止め祈願」と呼ばれる江戸時代から伝わる願掛けで、なら町では子供達が神隠しに合わない事を祈願して結ばれた風習です。


最近では、恋人といつまでも一緒に居られる様に願う縁結びや、客足が遠のかない様にと商売繁盛を祈願して結ばれています。

 

庚申堂

ならまちでは、町家の軒先に猿を模したお守りがいくつも連なって吊るされている光景を目にします。これは「身代わり猿」と呼ばれ、庚申信仰(こうしんしんこう)から来ているものです。

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庚申信仰は、元々は中国の道教の三尸(さんし)説が起源で、そこに仏教の密教や神道や修験道や地方の色々な民間信仰などが複合して、日本の各地に根付いた信仰です。ならまちにある庚申堂もその一つです。


この庚申堂には、文武天皇(もんむてんのう)の時代に疫病が蔓延した時、元興寺の高僧が疫病退散を念じ続けると青面金剛(しょうめんこんごう)が現れ、願いを聞き入れ疫病を収めてくれたという言い伝えがあります。

その高僧がこれを感得したのが、庚申の年、月、日であったことから、後にここに庚申堂が祀られたとのことです。

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堂内には、「庚申さん」と呼ばれている青面金剛像が祀られ、屋根の上には三猿の像が掲げられています。小さなお堂ですが、ならまちの庶民信仰を感じる事が出来ます。

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ちなみに、「身代わり猿」に興味があり、お土産に求めたいと思われる方は、奈良町資料館で購入する事も可能です。

 

世界文化遺産 元興寺

元興寺は余り知られていませんが、世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成要素の寺院です。現在残されている歴史的建造物は、いずれも国宝に指定されている極楽坊本堂と極楽坊禅室の2つのみで、境内もそれほど広いとは言えません。

しかし、この元興寺は平城遷都に伴って明日香から、この地に官大寺として新築移転された寺院で、奈良時代には広大な境内を持つ寺院でした。


その寺院も時代を経るに従って次第に伽藍(がらん)は荒廃し、堂塔が分離して、現在では極楽坊本堂と極楽坊禅室のみが残されているのです。


この極楽坊の両建造物の屋根瓦には、黒い瓦に混じり茶色っぽい瓦が存在します。茶色っぽい瓦は、解体修理が繰り返される中、使用可能な古瓦が使い続けられて来たもので、現在葺かれている瓦の中には飛鳥時代の瓦もあり、非常に貴重なものとなっています。

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また元興寺は萩の寺としても有名で、極楽坊の正面や南面の境内に、いくつもの萩の木があり、9月中旬になると紫や白の花を咲かせます。この季節に訪れるのが、最もお勧めと言えます。


先に記載した、御霊神社も奈良町庚申堂も、いずれも元興寺と関りを持っており、また遺構の多くは、周辺のならまちの町家の下に静かに眠っているのです。

元興寺と周辺のならまち散策では、こうしたロマンも感じる事が出来ます。

 

文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)

 

御霊神社の基本情報

 

名称 御霊神社(ごりょうじんじゃ)
御祭神 【本殿】
井上皇后(いがみこうごう)
他戸親王(おさべしんのう) 
事代主命(ことしろぬしのみこと)
【本殿東側社殿】
早良親王(さわらしんのう)
藤原広嗣(ふじわらのひろつぐ)
藤原大夫人(ふじわらのだいふじん)
【本殿西側社殿】
伊予親王(いよしんのう)
橘逸勢(たちばなのはやなり)
文屋宮田麿(ぶんやのみやたまろ)
所在地

〒630-8321 奈良県奈良市薬師堂町24 

連絡先

電話/FAX:0742-23-5609

アクセス

近鉄奈良駅より徒歩15分

JR奈良駅より徒歩20分

JR京終駅より徒歩10分

公式サイト

https://naramachigoryojinja.amebaownd.com/

  


 

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