近鉄奈良駅から東に向かうと、大仏殿の少し手前の道路沿いに朱塗りの鳥居が現れます。ここが氷室神社です。
氷室神社は枝垂れ桜で有名で、春には大仏殿に向かう観光客の多くが、桜見学に立ち寄ります。
しかし普段は、氷室神社を参拝する人は少なく、ひっそりとした神社です。この氷室神社の有名な枝垂れ桜と、余り知られていない献氷を中心にご紹介します。
氷室神社の由来とご利益
氷室神社は、平城遷都を行った元明天皇の時代に、勅命により春日山に鎮祀され、盛んに貯水を起こして、冷の応用を教えられました。これは平城氷室や春日の氷室と言われ、この氷室の氷を平城京に献上する献氷の勅祭が起こされ、大きな役割を果たして来ました。
しかし平安遷都に伴って興隆は衰え、清和天皇の時代になり、現在の地に移されました。一時期は春日大社の別宮であった事もありますが、現在は氏子と冷凍氷業界の奉賛によって維持される独立した神社となっています。
氷室神社の境内
氷室神社の境内は、決して広いとは言えません。朱塗りの鳥居を潜ると右側に鏡池と呼ばれる小さな池があります。石畳をまっすぐ進み、石段を数段上ると四脚門(よつあしもん)があり、その内側に拝殿・舞殿があり、その奥に三祭神を祀る本殿があります。
桜の季節こそ、枝垂れ桜を鑑賞する人や写真を撮る人で、ごった返しますが、普段はひっそりと佇む神社と言う趣があります。
氷室神社の枝垂れ桜
氷室神社の枝垂れ桜は、奈良公園周辺のソメイヨシノに先駆けて、最も早く開花する事で有名です。しかもピンク色の枝垂れ桜は艶やかで、大仏殿や春日大社に向かう観光客が、思わぬ桜の絶景に巡り合えたと多数立ち寄られるスポットとなっています。
枝垂れ桜は四脚門の手前に数本植えられており、最近は少し木が衰えて来ているのが気に掛かります。
またこの季節には、境内には枝垂れ桜の他に、白モクレンが満開となり、桜のピンクと真っ白い白モクレンのコントラストが、さらに華やかさを増しています。
氷室神社の献氷祭としらゆき祭
現在では、献氷祭は全国各地の製氷・販売業者が参列し、事業の興隆を祈願する祭りとして復活され、毎年5月1日に営まれています。氷に関わる人たちは6月になると繁忙期になるため、その前の5月にあえて営まれているのです。
当日には、鯛(海の幸の代表)や鯉(里の幸の代表)を封じ込めた二基の大型氷柱や花氷の奉納をはじめ、かち割り氷の頒布、舞楽奉納などの盛大な神事として行われています。
また伝統ある献氷祭とは別に、かき氷の業者さんとコラボした「ひむろしらゆき祭」が2014年から開催されています。この祭りでは、氷室神社境内で神事が行われると共に、春日野国際フォーラム「甍」別館にかき氷の有名店が集い、自慢のかき氷を有料で提供したりし、盛況を博しています。開催日は年によって異なりますが、献氷祭の前後に数日間開催されるのが通例です。
夏の氷室神社では、個人での献氷も可能です
氷室神社の氷に纏わる祭事は、「献氷祭」と「しらゆき祭」ですが、実は夏の時期には、普段個人的に献氷し、そのお下がりを頂く事が出来るのです。
社務所で数百円を納めると、かき氷を作ってもらえます。それを拝殿前に供え、お参りをします。そして、お参りを済ませると、神様からのお下がりとして、かき氷を頂く事が出来るのです。
暑い夏に奈良公園周辺を散策される場合には、立ち寄ってお参りと涼を求めて献氷されると良いでしょう。夏には拝殿の庇辺りからミストが噴射されており、これも流れる汗を抑えてくれますよ。
文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)
氷室神社の基本情報
名称 | 氷室神社 (ひむろじんじゃ) |
御祭神 | 闘鶏稲置大山主命 (つげのいなぎおおやまぬしのみこと) 大鷦鷯命(おおささぎのみこと) 額田大仲彦命(ぬかたのおおなかつひこのみこと)ヌカタノオオナカツヒコノミコト) |
所在地 | 〒630-8212 奈良市春日野町1-4 |
連絡先 | 電話 0742-23-7297 FAX 0742-23-7298 |
アクセス | JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通の市内循環バス約5~10分、氷室神社・国立博物館前にて下車すぐ |
公式サイト | http://www.himurojinja.jp/index.html |
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