大阪府東大阪市の生駒山の山麓に、河内一宮の格式ある枚岡神社(ひらおかじんじゃ)があります。この神社は、地元の人の尊崇を集めている神社ですが、全国的には知る人の少ない神社です。
また地元の人でも、この枚岡神社が「元春日(もとかすが)」と呼ばれている事や、その理由を知る人も極めて少ないのが現実です。
この記事では、元春日と呼ばれる所以を含めて、枚岡神社をご紹介します。
枚岡神社の創祀と由来
枚岡神社の創祀は、初代天皇の神武天皇が即位される3年前と伝えられており、まさに神話の時代に遡ります。
先の神武天皇が東征される際に勅命を出され、それを奉じて天種子命(あめのたねこのみこと)が国の平定を祈願するため、天児屋根命(あめのこやねのみこと)・比売御神(ひめみかみ)の二神を、生駒山中に祀られたのが、枚岡神社の始まりとされています。
創祀当時は、現在の枚岡神社のある場所より、さらに生駒山を上った神津嶽(かみつだけ)と呼ばれる場所にあったと伝えられています。
その後、難波宮に都が置かれた頃に、難波宮の鬼門を守る神社として、778年に春日大社より、武甕槌命(たけみかづちのみこと)・経津主命(ふつぬしのみこと)の二神をお迎えし、現在の地に四祭神を祀る姿となったのです。
枚岡神社が元春日と呼ばれる理由
▲枚岡駅の線路沿いにある元春日の石碑
奈良の世界文化遺産の一つである春日大社は、鹿島神宮・香取神宮の主祭神である武甕槌命・経津主命と、枚岡神社の祭神である天児屋根命と比売御神の二神を招き、最強の四祭神で平城京を長く守り続けました。この四祭神は、春日神と呼ばれ、全国に1000社余りある春日神社に祀られています。
春日大社に祀られている春日神の二祭神が、枚岡神社から分祀されたものであり、そこから元春日と呼ばれているのです。
枚岡神社のご祭神とご利益
枚岡神社に創祀時より祀られている天児屋根命は、天照大御神が天の岩戸に隠れられた時に、美声で祝詞を奏上された神様で、枚岡神社の第一神・主祭神とされています。この神様は神主の始祖神とも言われており、ご利益は国家安泰・家内安全・開運招福とされています。
また創祀時より祀られているもう一つの神様である比売御神は、天児屋根命の后神で、良妻賢母・女性の鏡とされる神様で、ご利益としては安産・子授け・除災とされています。
これが春日大社に、枚岡神社から分祀された春日神の二神です。また先に記載した様に、後年に鹿島・香取から招かれて春日神の残る二神となった祭神を逆に春日大社から招き、現在は枚岡神社には春日神の四神が祀られています。
枚岡神社の見どころ
近鉄奈良線の枚岡駅を降り、線路に沿って走る道路を東側に渡った所に、石の鳥居があり、そこから東に向けて玉砂利の敷かれた参道が続きます。
▲拝殿に向かう石段、右手に鹿の像の手水舎があります
参道の奥の階段を上った所に、拝殿があり、その奥に中門・透き塀(すきべい)と四祭神を祀る本殿が4つ並んで建っています。
しかし残念ながら2021年現在、本殿は彩色修理のためにシートで覆われており、本殿の美しい姿は見られません。
▲立派な中門・透き塀
枚岡神社は生駒山の山麓の結構高い位置にあり、拝殿から南に少し入って、摂社と末社を抜けた広場からは、大阪の眺望を楽しむ事が出来、お参りされた際には、ぜひその眺望も楽しまれるのがお勧めです。
枚岡神社のユニークな祭礼
この枚岡神社の祭礼の中でユニークなのが、12月23日に営まれる「注連縄掛神事(しめかけしんじ)(通称、お笑い神事)」です。
これは先に紹介した主祭神の天児屋根命がその美声で祝詞を奏上して、天の岩戸開きに功績された神話に纏わるものです。
▲[出典] 東大阪市 広報フォトニュース記事
神官が大声を張り上げて「ワッハッハ」と発生し、参拝者がそれに続いて「ワッハッハ」と笑うのです。これを何度も繰り返し、合わせて天照大神が天の岩戸に再びお隠れにならないようにと、注連縄を掛けると言う神事です。
こうして行く年を笑い飛ばして、元気に新年を迎えようと言う神事が行われているのです。
文・写真/供TOMOチーム ライター とっしー爺さん(大阪府在住)
枚岡神社の基本情報
名称 | 枚岡神社(ひらおかじんじゃ) |
御祭神 | 天児屋根命(あめのこやねのみこと) 比売御神(ひめみかみ) 経津主命(ふつぬしのみこと) 武甕槌命(たけみかづちのみこと) |
所在地 | 〒579-8033 大阪府東大阪市出雲井町7番16号 |
アクセス | 近鉄奈良線枚岡駅下車すぐ(普通電車のみ停車: 時間帯により区間準急も停車)大阪なんばから約30分 |
連絡先 | 電話:072-981-4177 |
公式サイト | http://www.hiraoka-jinja.org/ |
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